自転車旅行指南　

自転車旅行にはいくつかのスタイルがある。それを一つ一つみてみよう。

・宿、食は現地調達、チャリは走るための道具。チャリはひたすら走る。
・宿、食は自分で作る。そんなものにかける予算はない。

｜準備｜走り出す｜１日の過ごし方｜

チャリを選ぶ

これがないとこのコーナーは始まりません。

• とにかく早く走りたいと言う人、ロードレーサータイプの自転車をどうぞ。軽量で、補走路ならガンガン走れます。ただし荷物はそれほど詰めません。
  持つなら、ザックを自分でしょいましょう。

• とにかくチャリにかける金は無いと言う人、自分の家のママチャリでどうぞ。重いのですが、ある程度の荷物は詰めますし、一家に１台はあります。
  弱点は、長距離だとおしりが痛いことと、坂道にはめっぽう弱く、スピードもそれほど出ないことでしょうか。

• 全てを持ってないと安心できないと言う人、マウンテンバイク又はランドナーをどうぞ。
  いずれも、キャリアをつける事で、荷物の積載量が飛躍的にＵＰします。自転車旅行の標準形と言えるのではないでしょうか。

ちなみに、私の場合は、小学生頃に買ったと思われる自転車を改造してランドナーと呼べるような雰囲気にしています。
もとの自転車が、スポーツ車と呼ばれるようなタイプで、軽サイクリング用程度のものであったため、ハンドルや、キャリアの増設程度で形になったのです。

なんとなく、こんな表を作ってみたりする…。

	スピード	登坂力	悪路 走破	荷物 積載量	服装 自由度	輪行性	お値段	天候 影響	耐久性	整備性	解説
ロードレーサー	◎	○	×	×	×	○	とても高い	×	○	○	当然ながら、スピードはピカ一。でも雨と悪路には弱いし、荷物も積めない。荷物を積んだら重くなるから、レーサーに乗る意味が無い。
マウンテンバイク	○	○	◎	○	◎	○	普通	△	◎	○	バランスのよい選択。 ただ、最近のは機械的なメカが増えてきたので整備性に疑問があるかも…。
ランドナー	○	△	○	◎	◎	○	ちょい高い	△	◎	◎	ツーリング用なので耐久性はよいし、荷物も積める。ただし、その分頑丈で重い…。値段も、あまり出回らないので高め。
ママチャリ	△	×	○	○	◎	○	安い	△	×	△	気合いの選択。値段はピンきり。あんまり安いのは長距離に向かないが、これに乗る人はそんなことは関係ない。
折りチャリ	△	◎	△	△	◎	◎	高い	○	△	△	自由度の高い選択。天候が悪化したら折りたたんで撤収することもできる。タクシーにも難なく乗るだろうし。耐久性はどうなんでしょ？
徒歩	×	○	◎	○	◎	−	激安	○	−	−	最強最低の選択。何でも自由は利くが、絶対的なスピードは何にも劣る。 荷物もそれほど積めないが、体力次第！？
車	◎	◎	◎	◎	◎	−	高すぎ	◎	◎	△	最強の兵器と言える。 ただし、唯一の弱点はガソリンがいることと、もともとの値段が高いこと。維持費も高い。

スピード：絶対的な最高速度の出し易さ。ようは、速いか遅いか。
登坂力：上り坂で、どれだけ登れるか。登りやすいか。
悪路走破：悪路（砂利道）とかに対し相性はよいか。走りやすいか。
荷物積載量：絶対的な、荷物の積載量。
服装自由度：走るときの服装。ほんとは何でもいいんだが…。
輪行性：輪行しやすいかどうか？
お値段：まぁチャリの値段だよな。
天候影響：お天気の変化にどれだけ対応できるか。全天候型かどうか。
耐久性：チャリの耐久性。
整備性：何かトラブルが起きたときに、整備し易いかどうか。

どこへ行く。

「目的」です。
これは、人それぞれだと思うのでなんとも言えませんが…。

やはり「さきっぽ」を目指すのが基本でしょうか。「最北端を目指す」とかです。ひたすらに一点だけを目指して走る…。ただそれだけに夢中になります。

その他に、「一周シリーズ」があります。「日本一周」「島一周」などです。スタートとゴールが同じになります。（当然か！）
ゴールが近づくと、スタート時に見慣れた景色に遭遇し、少しの寂しさと同時に感動するものです。

他では、「峠制覇」が考えられます。…が、私にはそんなパワーがないのでカンベンです。キャンプ道具満載では昇りがキツイ事は必然。

交通手段

ここで言う交通手段とは「目的地までどう行くか」と言うことだ。

• 自走…ひたすら家から走り、家へ戻ります。何の迷いもなくどこへでも行けます。が、行ける距離が短くなります。
  日本一周する人はこれをやらないと始まりませんが…。

• 輪行…自転車をばらして公共交通機関で運んでもらいます。主に、電車、高速バス、飛行機などです。高速バスは各社で、輪行可能かどうか別れるようです。いずれの場合も、自転車をばらして輪行袋という袋に詰めなければ乗れません。自転車だけならよいのですが、荷物もあるので一緒に運ぶのがなかなか面倒です。
  

• フェリー…自転車をばらさずに乗せられる唯一の交通機関だと思います。ただし、自転車料金がかかります。輪行体制で乗ると手荷物扱いとなり、自転車料金はかからないようですが、荷物が増えて運ぶのが大変です。私は自転車には絶対フェリーしかないと思っています。

• 宅配便…クロネコヤマトのサイクルヤマト便とか言うものです。自転車の宅配便です。輪行状態で、宅配してくれるようです。日本サイクリング協会発行の、何とかタグをつける必要があるらしい。また、送り先は目的地付近の友達の家か、クロネコヤマト営業所止めにします。人間は電車などで追っかけます。営業所にした場合、営業所が駅から行ける範囲にあるかを確認しておきましょう。
  
  サイクリングヤマト便に関してはこっちのページを参考に。

• 車…自分の車、誰かの車で運んでしまいます。車のサイズによってはばらさずに乗せられるでしょう。しかも費用はタダ。自分で運転していく場合は、車のところへ戻ってこないと行けないということも考えておきましょう。軽いサイクリング程度には向いているかもしれません。（佐渡一周時にはこのパターンを使った）

• 現地調達…目的地でチャリを購入します。旅が終わると…どうするのでしょうか？不法投棄はせずに、自転車屋さんに持ち込みましょう。アホですが、下手な交通費より安いかもしれませんな。徒歩ダーが歩きに飽きると、この行動に出ると聞きます。（ほんとかよ）
  
  

輪行する

自転車旅行で、切っても切れない内容が「輪行」です。

輪行の定義はいまいちハッキリしませんが、「自転車をバラして、袋に詰め込み、荷物のようにして電車やバスに乗る」行為と考えます。

「旅先で自転車をばらし、電車に乗り込みワープ」が代表的です。
チャリだーとしては、他の交通機関に頼るのはちと悔しいのですが（海の上はしょうがないとして）、時間も無い現代人には使わなければならない時が存在する技です。覚えておいて損は無いでしょう。
また、輪行により様々なルーティングが可能になります。


［輪行状態の図］
真中のでかいのがチャリ。他、テント、サイドバックなどが散らばる。

なお、輪行はＪＲや私鉄、各バス会社で対応状況が異なるようです。
ＪＲは、一定の条件を満たせば手荷物料金もいらないようですが、他の会社は調べないとわかりません。

しかし、いくつかの注意点があります。（主にＪＲの場合を想定してます…いや、ＪＲしか乗ったことない）

• 輪行袋に自転車を収納しましょう。（輪行の条件その１）
• 車内では、輪行状態の自転車を紐などで手すりに固定しましょう。（輪行の条件その２）
• 競輪競技につかう自転車は輪行できないらしい。よく意味がわかりませんが、ちゃり旅野郎には関係ありません。（輪行の条件その３）
• 混んでいる電車には乗れません。東京のラッシュ時は無理です。
• 始発・終点のダイヤを狙いましょう。荷物の積み下ろしには時間が必要です。始発駅と、終点でのんびりやりましょう。
• なるべく乗り換えの少ないダイヤを調べましょう。
• 青春１８切符の時期は、ジェイアラー(電車で旅る人)や鉄っちゃん(鉄道マニア)が大量に出没します。
  その場合、みんなして同じような乗換えになる場合があります。終点では、人民大移動が起こり、電車の車両が少ないと大混雑になります。
  電車は１本くらい余裕をもっておきましょう。
• 車内での保管場所はなるべく人の通行が無い場所（車両の先頭や最後尾）にしましょう。
• チャリと離れて座りましょう。混んでくると、邪魔なチャリの主人は肩身が非常に狭くなる。
• チャリを組立・分解する時はあまり邪魔にならないところでやりましょう。（主に駅前など）
• また、「自転車放置禁止」などの看板のそばでもやめましょう。チャリドロと思われます。

荷物を持ち出す

自転車のメンテナンスをしましょう。キャンプ道具をまとめましょう。持ち物については、こっちで。>>>持ち物ぺーじ

どこを走る。

歩道、車道、路肩、砂利道。私は迷わず車道を走ります。

歩道は、でこぼこで、狭く、小さな昇り下りがあり走りにくい。また、いつの間にか消えてしまう場合さえあり得る。
その点、車道は道は舗装されてて平らで、車さえ気を付けていれば大丈夫。
あればいいのが路肩。ただ、街中を走る場合には路上駐車に気を付けましょう。
砂利道は、工事などでやむを得ず走る場合は我慢しましょう。雨のあとの砂利道は最悪です。 

なお、北海道の道には必ずと言っていいほど車一台分くらいの路肩が存在します。（写真はそれほど広くないが…）
これを通称チャリダー街道と呼びます。（どこぞのホームページに書いてあった）

風を読む

チャリにとって意外に気にするのが風。追い風と向い風では、スピードもペダリングも全然違います。（通常、追い風時はほとんど何も気にならずに走るのだが）
まして、キャンプ道具を満載したチャリは風を受けるのに十分すぎる面積をもち、風の抵抗をもろに感じます。

追い風なら、状態を起こしてでも風を多く受け押してもらいます。
向い風ならしょうがない、状態を下げて少しでも風の抵抗をなくして、ひたすらこぎます。

冬場の場合は、通常北から冷たい風が吹き込むので、北上すると向い風になりやすい。
夏場はその逆で、南から暖かい風が吹くので、南下するときは向い風になりやすい。

また、海岸線を走る場合は、海からの横風に注意が必要です。恐ろしいほどゴウゴウ吹いている場合があります。
特に、川の河口付近にかかる橋を渡る場合など、橋の昇り勾配と、海からの横風のカウンターパンチに教われる場合があります。

暴風警報、強風警報など出ている場合は、素直に停滞してしまった方がいい場合もあります。
あまりの強風で、スピードが出ないで無理にこぐより、どこかの風除け（バス停など）で雨宿りならぬ風宿りがいいかもしれません。

一生懸命こいでいるのに、前から落ち葉やゴミが飛んでくるほどの追い風ははっきり言ってやる気を無くします。

ルーティング時にはその季節の風と地形を少しは考えてみましょう。

雨にうたれる

 ”雨”実に悲しい響きだ…。

雨が降ると、行動力は半減。視界は悪化。路面も滑りやすく危険。
チャリも自分もカッパを着込みます。夏は、蒸れるからつらい。
泥除けがついていないチャリは、泥はねして衣類はぐしょぐしょ。
テントを立てるときも、地面はぬかるみ、水はけのよい地を探さないといけない。アスファルトなんて論外。

マンホールで滑って、こけないように。路肩のペイント（白）で滑ってこけないように。

「雨が降ったら雨宿り」これくらいの気持ちの方が、いいかもしれない。

雪に降られる

ここで言うのは、冬の北海道などの雪ではない。都心で年に数回する程度の雪のことだ。


雨よりもつらい。
何がつらいって「雪が降ってるのに、何で俺はチャリで走っているんだ」とか考える雰囲気になってしまうことだ。
雨と違って、ぐしょぐしょになる事は少ないが、残る雪と、寒さのイメージは桁違い。 

しかも、雪が積もると自転車は走れない。停滞するにも、テントを張っても足元からギンギンに冷えてくる。
豪雪に遭遇したら、かまくらでも作って雪解けの季節まで停滞してください。（なんとも無責任な…）

  ちゃりだーの１日

 これは人それぞれですが、自分の場合はこうなります。

夏場と冬場では日出・日没の関係で朝と夜の時間が異なるが、基本ペースはかわらない。
よって、冬場のほうが走っている時間は少ないのだ。

食事をとる

 食事はチャリダーにとっては車のガソリンのようなものです。食べないと走れないし、食べないとお腹が減ります。
朝、昼、晩とお腹が空いたら食べましょう。

食べるものは、旅のスタイルで異なります。
荷物を一切持たないで走り出したなら、各食事タイムに合わせ食料のありそうなところへ向かいましょう。

• コンビニ弁当…そうそう、山奥でも入らない限り各地に存在するコンビニで暖かい弁当をGETします。食事の時間が十分程度で済ませられます。ただ、これといった喜びが得られないのも事実です。

• 名産食いまくり…その地の名産品を食べまくります。浜松＝うなぎ。石狩＝石狩なべ。北海道＝ウニ。練馬＝大根。大阪＝タコ焼き。名古屋＝味噌カツ。などなどなど。味は言うこと無しでしょうが、出費が尋常ではありません。

• スーパーのお弁当…コンビニ弁当と似ていますが少し違います。スーパーで売っている弁当は非常にお安い。そして、一品料理なども売っている。カラ揚げとか、コロッケとか。コンビニだったら、スーパーがお薦めです。

• 自炊…スーパーで買い貯めをしておき、自炊します。パスタは水さえあればできますし。卵を割れば卵焼き。ない材料で何が出来るか、いろいろ考えましょう。一番、割安ではないかと思われますが、荷物は増えます。

また、お昼は食べたらお昼寝しましょう。

宿泊編

さすがに寝ない人はいないので、寒い夜を安心して過ごせる場所が必要です。

• テント：なんといっても、どこでもいつでも張って寝れるのが強みです。ただし、テントは当然運ばねばならないので荷物は増えます。テントサイトは、河原、公園などの公共と思われる場所の他に、キャンプ場などがあります。キャンプ場はシーズンオフだと料金がかからない場合があります。料金をとられるキャンプサイトには滅多なことでは行きません。

• 駅：駅寝と言われます。ステビバとか呼ぶらしい。終電の終わった駅舎の待合い室や、屋根のある適当な場所に寝袋広げて眠ります。一歩間違うと、ホームレスですが夜でも屋根つきで確実なのはやはり駅くらいでしょうか。宿代いらずで、荷物も増えないということで旅先ではよく見掛けます。ただし、北海道の駅では駅寝が禁止されていると聞きます。また、夜中に警察がやってきて職務質問される場合があります。

• バス停：屋根付きのバス停です。バスは電車に比べ最終も早くバス停がフリーになる時間が長いと言えます。また、変ぴな場所でも存在します。ただし、待合い場がないバス停も多々ありますので、一概に使えるとは言えません。

• 道の駅：駅寝と似ています。…が、寝床が必ずあるという保証はなにもありません。

• 宿：普通の旅行で考えると、かならず宿に泊まりますが、自転車旅行では随分と順位が落ちます。素泊り3000円とかの宿が手頃なとこでしょうか。私は使ったことが無いのでわかりません。自転車旅行という性質上、お金がかかく宿寝はあまり無いと思われます。スタイルによりますが…。

• ユースホステル：宿と同じです。ただ、普通の宿より数段お安いようです。同じく使ったことがないのでわかりません。

• 友達の家：一番楽なのはこれでしょうか。ほとんどの場合タダ。下手すると飯もでる。ただし、さっさと眠ることは許されません。

• フェリー：これを宿と考えるかは微妙ですが、夜を明かす航路は十分宿と成り得ます。夜出て、朝着く航路なら、宿より安く乗船できて、宿代わり、風呂付きなど意外にお得だったりします。お薦めは新潟＝秋田航路で2,200+チャリ代です。

• その他：公園でゴロ寝。どこかの建物の脇、または中！？など、かなりアウトドアな寝床です。

私の場合は、テントくらいしかやったことがありません。唯一、その他ってのも１度だけありますが…。

  これ辛いっすよ。

・お尻が痛い！！…自転車に乗り始めた頃は、楽しくてずっと乗っていたものです。次第に、遠くまで走るようになり、冒険してみるものです。
親のママチャリを借りて、都心に出かけることもあります。…が、ここで辛くなってくること。そう、誰もが経験する「お尻が痛いよぉ〜」です。
ネットで見ていると、「パンツを二枚はく」「サドルにタオルをまく」など、干渉材を作る努力が多いようです。
ただ、「皮のサドル」を使うことで、随分と長距離まで耐えられるようになるものです。